川崎フォトエッセイ  その585  抽象幻影      HOME

 抽象的なものは、一種の箱で、その中に見る側がイメージや意味を入れやすい。はっきりとしていていないもにに対してはつけ込みやすい隙があると同時に、それに魅入られることもある。

 はっきりしない事柄に対しては融通が利く。具体的なものは、選択肢のいくつかは消えており、最悪の場合、それが終着駅となる。最後の枝の端っこだ。果てるところの住処は安定はしているが、変化や切り替えができなくなる。

 具体的に収まりたいときと、まだ変化したいときがある。変化を期待するのは、固まってしまうことに対する閉塞感などが原因かもしれないが、何らかの固定したものを求めるのも人情だ。変化に対する煩わしさから解放されたい場合、具体的なものになりきるほうが得策なので。

 その具体的なものですら、少し引いてみると、幻灯のように儚げな映り方をしているものだ。