川崎フォトエッセイ  その592  果てる      HOME

 町並みは何処かで果てるが、その先に何もない場合は希である。漁村とか山間部で、その先が海や山や川で果てていることはあるが、市街地では次の街が始まっているはずである。

 商店街が果てると、その先は住宅地となっていることが多い。何もない空き地が拡がるという例は、都心部では少ない。

 一昔前なら、町中でも原っぱが存在していたが、今、あるとしてもそれは管理者がはっきりと存在する更地だろう。そこに自然の草花が生え、土管があり、紙芝居のおじさんが来るという使い方は出来ない。

 体験したことのある失われた風景もあれば、情報として知っている風景もある。古い年代を舞台にした映画とかを観ると、それは疑似体験であっても、感情面に焼き付けられる。

 僕らの見ている現実は、いろいろなものが折り重なって、背景をなしている。今の人は今しか知らないわけではない。