川崎フォトエッセイ  その603  歯ごたえ      HOME

 よく見かける部分が、組み合わされた風景は、具象なのだが、抽象的に見える。それはよく見ないと把握できないものではなく、一目見ただけでパターンとして知覚されるためだろうか。

 既に知っているものは、感覚的に入って来ても、純粋にそれを見る以前にパターンで上書きされるようだ。

 ユニット化されたものを見たとき、引っかかりが少なく、すーと、頭に入ってくる。当然部品の組み合わせ方は違うのだが、どのように組み合わせても、さして変わらぬ状態があり、頭の中での引っかかりは少ない。

 現在的な風景は、ありふれた風景になりやすく、そのありふれ方とは、スムーズに流れている今と同じリズムがあるためかもしれない。

 今とかけ離れすぎたり、先を行き過ぎると、頭の中でのアクセス労力が必要となり、歯ごたえに似た抵抗を感じるようだ。

 歯ごたえのない風景は、風景としての強さが低い。