川崎フォトエッセイ  その613  立ち止まる      HOME

 立ち止まっている人を見ていると、目的が何かを知りたくなる。聞かなくても目的が分かっている場所もある。駅のプラットホームなどがそうだ。これは他の人もそうなので、立っていてもおかしくない。プラットホームなら、目的の電車が到着すれば、ホームから姿を消すだろう。

 待ち合わせ場所で立っている場合は、相手が来ると、その場を立ち去る。到着するのは乗り物ではなく人となる。

 待ち合わせ相手がいなくても、人の多い待ち合わせ場所では、立っていても不審がられない。単に立っていたい場合には、それも可能だ。妙な場所で立っているより誤解は少ない。

 人の動きや場所の癖を利用して、それに同化し、紛れ込んでしまうと、他の人と一括りになるため、見た目の存在感は獲得できる。

 町中では通り過ぎるのは簡単だが、立ち止まるのは難しい。止まると、そこが目的地となってしまうため、任意の目的を実行しないと怪しまれるからだ。