川崎フォトエッセイ  その625  風景の間合い      HOME

 間合いの良い風景がある。風景は人に見せるため、そこにあるのではない。人が見いだすものだ。

 その人の間合いと、風景の間合いが一致すると、その人好みの風景画が誕生する。しかし絵筆で書くわけでも写真で写すわけではない。単に「あれっ」と感じるだけで十分だ。

 他人が見いだした風景を、作品として見ることにより、絵画性のパターンを覚えてしまうことがある。それがいつの間にか自分の間合いと隣り合わせとなり、絵画性一般として受け取ることになる。絵のような風景、つまり風景画に近いものに出会うと反応するわけだ。

 しかし、自分だけが見いだした風景は、どの程度存在するのだろうか。そこにオリジナリティーを求めるのは、逆に野暮なのかもしれない。それは知識的に絵画を見るのと同じである。