川崎フォトエッセイ  その643  階段空間      HOME

 階段を上り下りしているとき、その建物の通常の床とは離れた高度にいることに、いちいち気づいたりしないはずだ。

 階段を上りかけるとき、床より高い場所へ移動している。下りるときも同じだ。エレベーターの中では住めないように、階段も移動するだけのことで、滅多なことがない限り立ち止まったりはしない。

 階段は移動のための通路であり、廊下と同じ機能を持っている。坂のある廊下でもかまわないのだが、勾配が問題になる。

 エレベーターは床ごと、床に対して90度の角度で、登っていく。これは最大の勾配で垂直移動である。梯子も同じだ

 動かなくなったエレベーターは部屋になり得るが、階段は床の箇所が狭すぎるため、居住空間としての部屋にはなりにくい。

 屋外にあるような横幅の広い階段は、腰掛けになり得る。

 僕は少しでも空間があれば、そこに住めないものかと考えてしまう。