川崎フォトエッセイ  その654  暮らす      HOME

 人の日常の暮らしぶりを見ていると、穏やかな気持ちになることがある。特に知らない街でそれに遭遇すると、自分の住む街での日々を懐かしく思ったりする。

 普通の暮らしは、実に普通で、何でもないことである。暮らす上で必要な項目は、ほとんど共通している。

 人は風呂に入らないといけないし、洗濯もしなくてはならないし、炊事や買い物に出かけないといけない。それらは晴れがましいことではなく、暮らしの中で必要だからやる行為である。その意味でケレン味がなく、非常に率直である。

 普通に暮らせることの有り難さは、そうでない境遇になったときに改めて発見される。普段は面倒臭い用事として片づけていたことが、大切なことだと気づくのである。

 機嫌良く暮らす。これは単純で平凡なようで、なかなか実現しない場合もあるのだ。それは暮らしの基本が歪んでいたり、あらぬ暮らしぶりを想定しすぎるためかもしれない。