川崎フォトエッセイ  その679  街で暮らす      HOME

 街で暮らすことは、見知らぬ人々と暮らすことでもある。街は孤立して在る場合が少なく、他の街と隣接しており、自分の暮らす街との境界線はあやふやだ。

 同じ町内でも、見知った人ばかりではなく、アパートの奥に住む人や、マンションの何号室かに住む人は、引っ越しも多く、何世代もその街にいるわけではない。

 自分の町内よりも、よく行く通り道にある街のほうが詳しくなることもある。そこを歩いている人々は、わき水のように、水源をたどれば何処かに源がある。普段着で歩いている人は、きっとその近くに水源があるのだろう。

 街で暮らしていると、人との距離感がバラバラだ。何処に住んでいる人かは分かっても、どんな人なのかまでは分からない。また、分かる必要もない。

 部屋を一歩外に出ると、いつもの人と出会うこともあれば、見知らぬ通行人と遭遇することもある。その街に住んでいない人がいる街は、風通しのいい街だ。