川崎フォトエッセイ  その694  言葉の呪縛      HOME

 簡単に立ち入ることができる場所でも、「立入禁止」とかの文字があると、躊躇するものだ。

 立ち入ってはいけないという主張がそこにあり、それを無視することは、何らかの信頼関係を崩すことになる。つまり相手の意志に逆らうことになる。

「立入禁止」は、言葉である。書かれた言葉である。トラブルが生じたとき、人は意志表示の手段として、言葉を使う。そのため、明快に「立入禁止」と書かれたところを通り抜けたとすると、言い訳ができなくなる。言葉の呪縛は、まだまだ生きている。

 言葉の信頼性は、単純に受け取るほうが好ましい。その言葉の真意とか、本音箇所とかを詮索すると、余計に分からなくなってしまう。

 言葉は単純明快が好ましく、そのシーンでのワンポイントとしての機能を果たせばよい。現実や、真意が、言葉とは裏腹であったとしても、その言葉を発した感情ががその時あったはずだ。それは、謎のままかもしれないが。