川崎フォトエッセイ  その726  不常駐な感情       HOME

 いつの間にか出来てしまった風景がある。町並み風景は、風景画を書いたり、風景写真を写すために作られたものではないだけに、リアルなものを含んでいる。

 リアルなものとは、現実に存在するもので、写真で写せる物や形、そして光である。それはこの世に存在している。

 町並みではそれらがほぼ無作為に組み合わされ、暮らしや生活の機能を果たしている。と、同時に、その組み合わせがある種の雰囲気を醸しだし、見る側に感情を与えることもある。

 感情は、自然に発生する。それを意識的に押さえることも可能だが、ある感情を越える感情が常駐していないと、押さえきれるものではない。

 間が空いたような心境の時、単純な感情が一人歩きする。そこに意味を見出そうとしても、引っかかりがないとき、純粋に近い感覚で、対象に接することになる。だが、その種のネタは、どうでもいいようなことだけに、人生や生き方とは被らないため、安全なのかもしれない。