川崎フォトエッセイ  その773  スポット       HOME

 若い年代向けの雑誌とかで紹介されている場所がある。所謂スポットである。その場所は紹介される前からあり、その雑誌とは関係は何もない。

 ところが、その雑誌を見て行った場合、雑誌のイメージと重なってしまう。だが、実際に行ってみると、その雑誌のイメージなど微塵もないことが多い。

 それは就職情報誌のイメージと、実際に募集している企業とは違うのと同じだ。

 雑誌で紹介されている場所は、雑誌で見ているほうが楽しめることがある。実際に行ってみると、その場所だけがそこにある。雑誌や観光案内書の世界では、ページをめくれば、別の場所へワープし、本を閉じれば、本を開ける前の現実に戻れる。

 実際と、紹介記事とのイメージ的ギャップが問題なのではなく、リアルな現実は侮りがたく、手強いと言うことだ。

 同じように僕らは人を紹介するとき、相手に即して、その人の中にある任意の「スポット」ばかり強調することが多い。