川崎フォトエッセイ  その780  聖なる入り口       HOME

 入り口があると入りたくなる。人が出入りできる場所なら、その奥を見たい思う好奇心が働くためだろうか。

 日常的によくある出入り口とかは、それほど好奇心は沸かない。おそらく似たような仕掛けがそこにあり、この日常と、その入り口の向こう側とはさほど変わらぬ日常だと思うからだ。確かに人の日常空間も気になるところだが、そこに立ち入ったからとて、この日常と同じ日常があるだけのことだ。

 しかし、そこに人が住んでいるのではなく、御仏がおわす場所ならどうだろうか。これは日常から遠く離れた空間で、この世界とは別の秩序がそこにある。

 世界に対する認識方法が、日常とは違うのだ。確かにその入り口は、コンビニや映画館の入り口とは次元が違う。

 つまり精神世界と言ってしまえばそれまでなのだが、国宝や重要文化財クラスの御仏が立体曼陀羅として、入り口の向こう側におわす感覚は、日常から遊離していることは確かだ。