川崎フォトエッセイ  その782  俗化       HOME

 近県へ観光へ行ったとき、そこで見かける人々は、普段よく見かける人々に近い。それほど風土や文化がかけ離れていないため、同じ種族のように見えてしまう。

 その意味で、人に対しての馴染みは強い。珍しい場所や、特別な場所でも、不安を感じないのは、この同じ種族の人が行き交っているからだ。

 個々の事情は違っていても、大きく見れば、普通の観光者である。その人達が行ける場所なら、普通の町内を行き交うように、入り込むことができそうだ。

 ある意味で、これは観光地の俗化になるのだが、俗化の恩恵も受けられる。

 しかし、千年以上も昔からあるような場所は、そこに立つ人間こそが移ろいやすいものでしかなく、建物は動かない。

 その昔、普通の人は立ち入れなかった場所でも、今は入ることができる。それが単なる物見遊山でも大丈夫になっているあたりが、観光地のメリットだと言える。