川崎フォトエッセイ  その829  謎の扉       HOME

 何かを出し入れする扉がある。それが窓の形をしている場合、人の出入り口ではなさそうだと、すぐにわかる。

 扉の向こう側が部屋になっているかもしれないし、郵便受けのようなボックスかもしれない。

 普段、見かけないような扉は、使われ方も広くないはずで、特殊な用途で使用される扉だと気づく。

 その扉を利用し、何かが行われている。具体的な機能は見た目ではわからないが、おおよその察しはつく。扉の大きさや材質から用途を推測するわけだ。他の場所でもそれと同じ扉を見た経験があっても、使われている現場を目撃していないと、謎のままである。

 実際には見た覚えはなくても、テレビや映画とかで見た場合、謎は謎でなくなる。体験していなくても情報としてわかっている世界となる。

 情報として知っている世界と、内容はわからないが、その実物を見た場合とでの違いは何だろうか。実体験のあるなしが必ずしも信憑性があるとは限らない。むしろ体験としてはローカルで、認識としては偏りがあるかもしれない。

 つまり、個人幻想を、共同幻想に持ち込めないことが多い。