川崎フォトエッセイ  その834  仕様がない       HOME

 人が作ったものは不完全で、一瞬完璧に見えても、時と共に、分解され、切断され、引き裂かれ、本来の機能を失い、粗大ゴミになりかねない。

 人が作った場所も、本来の意味とは異なる展開になり、あらぬものが意味を失ったまま場所を占めることになる。

 人工物の哀れさは、人との関係が疎遠となるときに始まり、やがて無視され、忌み嫌われる存在にもなりかねない。

 この現象は人工物にはつきまとい、処理仕様のない嫌われ事になる。これもまた一種のリスクである。

 人は意味を見出す動物なのだが、その意味を失った場合、粗大ゴミと同じように放置されることもある。意味は人工物と同じで、その時々の解釈で紡ぎ出され、状況が変われば消えてしまう。

 過去に紡ぎ出された意味は呪縛性が残っており、むやみに捨てると祟られるような気配になる。