川崎フォトエッセイ  その849  火の不安       HOME

 冬場など、暖房で火を使うことが多い。この場合の火は、炎を伴った火とは限らない。

 石油ストーブなどは明らかに燃えている火だ。出かけるときなど、その火を消すのは当然である。

 火の始末をし、外出したかどうかが気になることがある。今から電車の乗ろうとするとき、それが気になり、引き返す人もいるだろう。大概の場合、消したり、スイッチオフになっていることが多いのだが、はっきりとした記憶がないと不安なのである。

 不安なまま外出先で過ごすのは落ち着かないものだ。もしや今頃家が燃えているのではないかと心配し、電話することもある。家の人がいる場合は、スイッチ類の確認が取れるが、そうでない場合、もし燃えていれば、電話も通じないだろう。

 だから、電話が通じることで、少しは安心するが、今まさに燃えつつある状態かもしれないと考えると、何度も電話することになる。

 外出先からの帰り道、建物の屋根を見て、燃えていなかったことで、ほっとすることもある。