川崎フォトエッセイ  その858  仏像       HOME

 時代がめまぐるしく代わり、常にそこにあったはずのものが次々に消え、さらに新しいものが塗り替えていき、それもまた古いものとなる…というようなことを目の当たりにしていると、あまり変化していないものが希少価値となる。

 仏像もまた新しく作れている。だが、むちゃくちゃ今風な仏像は現代美術としての観賞用で、そこに魂が入っているとは思いにくいし、また異界との繋がりも、薄いように思われる。

 畳は新しい程良いが、仏像は古いほど雰囲気がある。秘宝として一般の人々触れられることがほとんどない仏像は、タイムカプセルでその時代にワープしたかのように、作られた時代背景の情念を被るような気になる。

 多くの人から信仰の対象として拝まれ、見つめられた仏像は、それだけ人々の念が入り込んでいるような印象がある。これは人々の思いが、仏像を磨いているような感じだ。

 身辺のものが変化していく。変化しにくいものが尊ばれるのは、今も昔も変わらないだろう。