川崎フォトエッセイ  その859  仏を見る       HOME

 人は人の表情が分かる。そして、動物の顔を見ていても、人の表情と重ね合わせながら読みとる。しかしそこには先入観が加わり、動物の表情ではなく、形から受ける印象のほうが強くなる。

 仏像は人の顔をしている。そのため人の表情とほぼ同寸だ。それが仏であるため、仏の表情を読みとる。人に似た仏は、人と似た表情となる。これは自分自身の感情と照らし合わせやすい。

 仏像は仏そのものではない。仏に限らず神もそうなのだが、それが現実の世界に同席できるような存在ではなく、突き放して言えば「概念」でしかない。

 人は神仏を見出した。発明したと言える。それは外からの気づきよりも、内からの気づきだろ。

 仏像の表情を見ることで、その像がいわんとしている「仏」の感じが分かる。そのわかり方は、見る側の印象でしかない。

 仏像はインデックスであり、その先にある「仏」の世界は、見る側が感じ取ることでしかアクセスできない。