川崎フォトエッセイ  その870  暮らしぶり       HOME

 古い町並みを見ていると、そこでの暮らし方が何となく分かる気がするのは、地面の上で展開されている風景のためかもしれない。

 人の住処は外来者にとってわかりやすく作っているとは限らないが、その構え方で何らかの態度を見せようとしているところがある。

 高層マンションも住処だが、そこからは世帯主やその家族の個性を伺い知ることはできない。むしろそれを隠すためにそこに住んでいるのでは…と錯覚するほどだ。

 建物によって、住む人の暮らすが推測できる。超高級マンションとかでは、一人一人のことは分からないが、その代わり、全体で暮らしが分かる。

 ある住人が、その住処へ続く、ほぼ専用の坂道を上っていくとき、人生規模の情景まで伺える。非常に個性的なのだ。

 都会の建物は個性がない。だからこそ個性が求められている、と思うのは、考えすぎだろうか。