川崎フォトエッセイ  その878  普通       HOME

 普通の状態と、そうでない状態とがある。そうでない状態が、普通の状態として、そのまま続くこともある。普通がスライドしたのではなく、本来は本来としてあり、そうでない状態はそうでないままある。

 普通の状態を維持するのは大変だ。どこかに普通でないところや事情があるもので、完璧な姿での「普通」からはずれることが多い。

 普通は相対的に決まると言っても、標準的普通の水平はある。多少は普通からはずれていても、寛容度があり、その中に治まっているのなら、普通というレベルを与えても良いことがある。

 普通に近い言い方に「通常」がある。通常のすぐ近くに「常識」がある。いずれもそれらは概念で、そこに実体があるわけではない。

 僕らはやや普通ではない状態にいるときのほうが多い。そして少しだけ異様なことでも、普通のズレの寛容範囲内として、取り込もうとするようだ。