川崎フォトエッセイ  その918  弄る       HOME

 構造は弄れば弄るほど、分かりにくくなるものだ。一つ一つの物事も、それなりに分かりにくいのだが、物事として世の中に出ている物は、それなりに普遍性があり、分かるように出来ている。そうしないと、物事そのものが存在し得なくなるからだ。

 個々の物事が複雑に絡み合っていたとしても、そこに過度の企てがなければ、難解なものではないはずだ。既知の物が既知の構成で存在しているため、知っている構図となり、分かりやすい。

 ところが、組み合わせに過度な企てを弄すると、とたんに分かりにくい刺激物となる。単にそれだけの状態を指して、現代アートとかと呼ぶのは、一種の逃げ方である。

 自然な構造は、人跡未踏の原生林でも行かない限り、お目にかかれないかもしれない。しかし自然の構造は作れないが、自然らしさは作れる。

 目立たせるのは簡単だが、目立たないように、その中に納める構造を作るのは、簡単ではない。