川崎フォトエッセイ  その920  座れる椅子       HOME

 椅子を見ると、腰掛けたくなる。それが椅子である限り、座ることが出来ると思うからだ。

 ところが、世の中には「座ることを拒否する椅子」もあるらしい。これは、物理的に座れないように出来ている椅子で、当然実用品ではなく、表現物として存在する椅子である。

 この種のひねった表現行為は、僕には分からない。既成概念を打ち壊すのが、目的だったとしても、一度その座れない椅子を見ると、それもまた既成の物になってしまう。

 確かに世の中には座れない椅子がある。それは地位を含んだ椅子だ。しかし、物理的には座れなくはない。

 椅子とかインテリアには機能美がある。それはデザインを施さなくても、その機能そのものに美があるのだ。それを強調させるため、デザイン的な仕掛けを加え過ぎると、本来持っていた美しさやバランスが損なわれることもある。