川崎フォトエッセイ  その921  階段       HOME

 日本にも高い建物は昔からあり、当然階段もあったのだが、その建物は塔とか天守閣など、日常的な場ではなかったように思える。

 二階建ての日本家屋も、その階段は折り畳み式だったり、箪笥付きだったりし、ひどい場合は梯子だったりする。

 階段は廊下の延長のようなものだが、通過するだけで、左右に部屋が並んでいるような普通の廊下とは違う。

 大勢の人々が始終上り下りしている階段は、摩耗が激しい。角が丸くなっている階段を見ていると、マイルドな感じがする。しかし、角がスチールで補強されているタイプは、入れ歯でものを食べているような踏み心地となる。

 ハイキング路の岩山は、人が歩いたあとが自然に削り取られ、歩きやすくなる。階段にもそんな悠長な仕掛けが施されていると、馴染みやすい階段となる。

 基本的なところ、本質的な機能にお金をかけ、しっかりと造ってある建物は本物だ。