川崎フォトエッセイ  その965  心霊写真       HOME

 煙草を吸いながら写真を写すと心霊写真風になることが多い。薄暗い場所で、ストロボを使うと、タバコの煙がさらに浮かび上がり、効果的だ。

 その煙が、何らかの形に見えることがある。

 どの場所にでも、人の生き死にはある。古代から数えれば、累々たる死体の山が横たわっていることになる。その意味で、霊のネタは尽きない。

 死は人だけではなく、植物や動物にもあり、物にもある。それらに全て霊があると言って騒ぐことはない。それを見ている人間も霊なのだから。

 霊には肉体がないとされている。それをガラス瓶に入れて、保管することは出来ない。この現実の層とは違う層に属する存在かもしれない。グラフィックソフトでよく使うレイヤーのようなものだ。いくらマウスで弄ってもアクセスしないのと似ている。しかし、レイヤーを表示すれば見えているのだから、同じ面上にあるように思えてしまう。

 僕らが生きているのは、肉を持つレイヤーであり、当分はそこで暮らすしかない。

 

 

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