川崎フォトエッセイ  その988  物の怪       HOME

 物には気持ちや感情がないとされている。それは人間から見てのレベルで、人間と同じような感情を物に期待すると、妙な発想の持ち主として誤解されるだろう。

 古くなった物、妙な環境のせいで、物が変形することがある。その物が、何かに化けたような印象を与える。

 化けた状態で、単にそこに在るだけなら、別に問題はない。妙な形や雰囲気を醸し出しているだけだ。

 その現象に対し、受け取る側がイメージを与えたり、妙な精神を与える。

 物の怪は、何らかの気配を物から受けた人が発明する。また複数の人が発見すれば物の怪に名前がつくだろう。

 その意味で、名前のつかない物の怪が無数に転がっている。その物やその現象と、人間の生活や世界との繋がりが希薄だと、抽象化しにくい。つまり、象徴性がないため、物の怪として化けてくれないのだ。

 

 

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