川崎フォトエッセイ  その1026  旗印       HOME

 人は太古からシンボルが必要な動物だ。それは思惟することが可能な大きな脳があるためだろう。つまり頭の中のメモリが大きいのだ。

 現象を抽象化するというのは、何らかの駄目押しのようなもので、それを形にすることで、リアルなものの中に埋め込むことが出来る。

 この抽象化が曲者で、ポリシーや意味などが稼動しやすくなるため、思わぬバックボーンを与えてしまうことになる。

 つまり、自分ではなく、自分の行為を何らかのシンボル性の高い抽象に託し、旗印の役目を果たすのだ。

 それが人々の幸せに関することであれば、そうしないと幸せにならないと言う面を生み出してしまう。

 生理的に感じてしまう不快感も、本来のものではなく、その関係内での意味をシンボル化して受け止めるためだろうか。

 実際には何も起こっていなくても、意にそぐわない思いになるのも、抽象化しすぎるためかもしれないが、太古からあるこの方便は根強い。