川崎フォトエッセイ  その1033  尊ぶ       HOME

 尊い場所がある。それは地形的にはありふれているとしても、気がつけば次々と消えてゆく。

 その気になれば簡単に手を汚してしまうことが出来るものは、ガードもしにくい。

 もしそれを厳重に囲んでしまえば、尊さへの素朴な趣が消えるかもしれない。簡単に壊してしまえるからこそ、値打ちがあるのだろうか。

 それ以前に値などつかないほどありふれているため、壊しやすいのだろう。

 太古から人はえげつないことをしてきた。それ対しての罪悪感があるためか、または恐れがあるためか、精神的な仕掛けを作ってきた。

 動物が必要以上の殺生をしないように、人も、どこかで留め置く仕掛けを作ってきた。

 しかし、精神的なものは変えてしまいやすい。もともと人はえげつない動物なので、そのあたりはいくらでも変更できるからだ。

 時代とともに精神のタガが外れやすくなったのは、外せる場が多くなったためだろうか。