川崎フォトエッセイ  その1039  野に咲く       HOME

 野に咲く花‥と、よく言われているが、肝心の野を見る機会が街中ではほとんどない。町内からも純粋な野原は消えているし、空き地はあっても立ち入れない。

 多くの人々の暮らしの中に「野原」があった時代は、その言葉も生きるのだが、今では出かけないと良質な野原など存在しないだろう。

 野原は贅沢な存在で、ほとんどの場合、田畑になっているはずだ。もっとも、人里から離れすぎると田畑を作ることもできないが。

 休ませている田畑に草花が生えた状態が身近な野原となりやすい。

 この種の擬似野原は、野生の草花ではなく、誰かが育てていることが多い。これは風景に花の絵を添えるような行為でもある。

 野の花が必要なのは、お墓や仏壇に供える花として使うためだろうか。

 四季の草花が咲き乱れる土地に住むなどは、贅沢な話になった。