川崎フォトエッセイ  その1098  狼煙       HOME

 田園風景がどこまでも続いているような場所は、年々少なくなる。

 籾殻などを燃やしていると、狼煙のように白い煙が立つ。それが何本も立っている図は、遠い記憶の中に消えてしまった感じだ。

 風の強い日は、狼煙は上に上がらず、白い煙が、霧のように視界を遮る。

 籾殻の中には、サツマイモが入っていたりする。そんな素朴な焼き芋など、滅多に食べられない時代だ。

 サツマイモの値段を見たあと、焼き芋の値段を見ると、その高さに驚くことがある。非常に高価な間食だ。

 古い世代の人なら、貧乏でサツマイモを食べていたイメージがあるはずだが、食糧難とかを知らない世代は、接し方も違うだろう。

「芋侍」は野暮ったい田舎びた侍を指すのだが、実際に米が育ちにくい土地に住んでいたり、米が食べられないで、芋を主食にしていた侍もいたはずだ。

 芋は、何となく、土着のイメージがあり、失われた土の匂いがしてくる。

 

 

川崎フォトエッセイ  その1098  狼煙       HOME