川崎フォトエッセイ  その1105  探訪       HOME

 探訪は散歩とはまた違った趣がある。散歩では、あまりにも散りすぎているため、何らかの目的を持たせる必要がある。

 探訪に見せかけての散歩がある。特に探り当てるような目的などなく、単にウロウロしているだけの探訪の場合、実際には歩きながら、周囲を観察する程度だろう。

 探訪は決して深く訪ねるわけではない。しかし、任意の場所に分け入ることは、日常から見れば、深い階層へ降りていくことにはなる。

 訪ね行くことが目的で、訪ね先で、何らかの用事を果たすわけではない。強いて言えば、訪ねることが用事で、訪ねる行為そのものが目的であり、用事でもある。

 この用事は、情緒的で、個人的な思惑が絡み、精神的な階層と結びつくこともある。

 思うところへ、自由に行けるだけでも、十分幸せな状態だ。その時間さえ作れない人もいるし、また、肉体的に出歩き難くなった人もいるのだから。

 

 

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