川崎フォトエッセイ  その1123  欠ける       HOME

 何かが欠けることによって、よく見えることがある。

 今まで、それが当たり前のように、そこにあった時は、気づかなかったものが露見する。

 実際には、その存在は知っているのだが、何らのガードのお陰で、考えなくてもかまわなかったものが、それが、欠けることにより、改めて確認出来る。

 欠けたものが、補強不可能なものだとすれば、その状態でやっていくしかない。同じもので修復出来ない場合は、別のものを使うしかない。

 欠けることで、その大切さを噛みしめることもある。また、意外と脆いものだったのだと、思い知らされることもあるだろう。

 欠けたものは、完全なものではない。しかし、欠けたものを見ると、安らぐことがある。それは、完全なものなど、存在しないことを、証明してくれているような、証拠品を見るためだろうか。