川崎フォトエッセイ  その1125  座る       HOME

 喫茶店に入っても、何もしてない人がいる。実際には珈琲や紅茶を飲んでいるのだが、それだけなら10分ほどで、用は足せるだろう。

 新聞や雑誌や持ち込んだ本を読んだりもせず、音楽を聴いているわけでもなく、ただ単に座っている人がいる。

 一人になり、物思いに耽っているのだろうか。または、何らかのワンポイント的な間を置きたいためだろうか。

 それなら、部屋でも、公園のベンチでも出来るのだが、喫茶店はお金を払って空間と時間を買い取っているため、臨時のプライベート空間を得ることが出来る。

 その空間には、自分であることを証明するような飾りはない。つまり、自分の部屋よりもニュートラルなのだ。

 その空間内で、座っていることは、何かを見たり使ったりとかの作業ではなく、精神的な何かを弄っているように思える。

 

 

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