川崎フォトエッセイ  その1144  殺伐アート       HOME

 元に戻せないほど損傷した自転車は、放置していても、消えてなくなることはないだけに、妙な物体として残ってしまう。

 それらは、ジャンルとしては「不法投棄物」として括られるのがだが、誰も処理しなければ、かなりの期間、そこに残り、その周辺の風景の一部となる。

 それが景観として、まずいこともあるし、趣として楽しめることもあるのだが、ほとんどの場合、殺伐とした印象を与えるようだ。

 しかし、アートとして見た場合、造形作家が作ったオブジェよりも、意外性のある構図や、象徴性の高いシンボルになることもある。

 それは見出す側の趣味性の問題で、メカニカルな物が好きな人によっては、興味深い絵柄となるだろう。

 造形作品は、リアルなものにはかなわない。また、それだからこそ、リアルなものから抜き取り、作為的に再現させたりするのだろう。

 だが、現実の風景の中で見てこそ、その醍醐味があり、ドラマやパフォーマンス性がある。

 

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