川崎フォトエッセイ  その1152  植物       HOME

 狭い敷地内でも、植物が植えられているのを見ると、和むことがある。

 それは、塀や壁がそこにあるだけではなく、植物という生物が、そこで生きていることを見るためかもしれない。

 無機質なものと比べて生物は不安定な存在だ。ちょっとした環境の変化で、死んでしまう。

 この微妙で繊細な生物は人と同じように、この世で生きている。

 確かに動物に比べ、植物の反応は大人しい。空気や光や水や土などには大きく反応するが、人には微妙にしか反応しないようだ。

 半年後、同じ場所へ行くと、もうその植物はシーズンを終えているかもしれない。

 建物だけが立派でも、それは無機的なもので、どんなに優れた設計がなされていても、無機物としての限界がある。

 そこに樹木や草花が加わってこそ、人の住みかとしての趣が生まれる。

 だが、その種のものを拒否させるような建造物はその限りではない。