川崎フォトエッセイ  その1191  老木       HOME

 いつの時代にも、残っていてほしいものがある。山河はそれなりに残るのだが、それが消えるときは、人も滅びているかもしれない。

 一人の人間が生きている時間がある。その範囲内でしか、ものを見ることが出来ない。その意味で百年ほどは変わらず残っているものなら、満足を得るかもしれない。

 樹木の寿命は長い。千年を超えるのものも多くある。単に立っているだけの活動内容のためだろうか。または、立地条件がよいだけかもしれない。

 人は年をとると、逆に縮むこともあるが、樹木は大きくなる。老木ほど巨木になりやすい。老いても大きさを誇ることが出来る。

 老木を見ていると、人が造った建物は刹那的に見える。その建物が建つ以前から、ずっと立っていた樹木の方が、霊験あらたかかもしれない。

 古代の人々は、山の精霊とかを信じていた。下手に形を作ると、俗が入り込む。