川崎フォトエッセイ  その1193  いにしえ       HOME

 古さの良さがある。歳月を経てきたものだけが持つ趣だ。しかしこの良さは、怖い面もある。他のものが滅びているのに、そのものがまだ残っているのだから、それだけの強度があるためだ。

 その強度から来る怖さだ。単にそこに立っているだけでも、侮れない何かがある。だからこそ残っているのだ。

 ほとんど死んでいるような状態の古いものもある。古さを誇るだけなら過去に生きていることになる。

 古くても、まだこの時代にしっかりと生きている状態が好ましい。

 ものが古くなりすぎると、物の怪となる。実際にはそんな妖怪変化の類にはならないのだが、存在していることの不思議さがある。

 古木も季節には若葉が芽を出す。それは若い木と同じ行いだ。特に変わったことをしているわけではない。

 その繰り返しが長いだけなのだ。