川崎フォトエッセイ  その1213 個人      HOME

 山岳部の中では人は小さな存在となる。しかし、この小さな生き物が、自然に関与し、自然を変えてきた。

 大自然の持つシステムだけでは回復できないほど、人が入り込んでしまったのである。

 これは個人の仕業ではなく、人が集まって出来たシステムによる企てだろう。

 人の集まりである団体は、人間離れのした強靱な意志で、非人間的なことまでしでかす。

 そして、人は、個人に戻ったとき、非力となり、とんでもない企てに加担していたことさえ忘れるようだ。

 人の集まりの怖さは、個人でならかかるはずのブレーキを合法的に取り払う。

 一人の個人の尻馬に乗ることもある。その個人では不可能なことを、そこに乗ることによって果たせると思うからだ。

 個人的には良い人でも、団体内ではとんでもない人になりうる。悪いのは団体で、その個人ではないとは、言い切れない。