川崎フォトエッセイ  その1235 蓮      HOME

 蓮の花はあの世のイメージで、地獄ではなく極楽に咲く花である。

 蓮の花に仏が乗る姿はよく見かけることがある。なぜ蓮なのかは、イメージの問題だろう。

 極楽は此岸から見た仮想世界なのだが、仮想といっても、全くイメージが掴めない形よりも、見知っているものを使ったほうが分かりやすい。

 死後のイメージは文化や風土により、違ったオブジェが使われる。蓮の花や菊の花が咲かない風土では、イメージ化しにくいだろう。

 此岸のものを使っているが、そのものに託された何かであり、そのものではない。

 極楽のイメージは仮想だが、その仮想をそのまま現実の世界が模すこともある。

 極楽のイメージを、再び、この世に具体的に配置するわけだ。

 僕らは何らかのイメージがなければ、思い浮かべたりする手がかりを失う。その意味で、仮想世界は必要なのだ。