川崎フォトエッセイ  その1244 花と背景      HOME

 花も咲く場所が良ければ違和感がない。そこに花が咲いているのさえ意識しないで見てられる。

 町中で自然に咲いている花は少ない。誰かが植えたり育てたりしているはずで、その花は自分の意志で、そこにいるわけではないだろう。

 だが、与えられた場所で、文句も言わずに、それなりに咲こうとしている。

 拾われてきた犬や猫で、その場所が気に入らなければ逃げ出すだろうが、花は逃げられない。

 逃げられないで苦しんでいるペットを見るよりも、諦めるような雰囲気さえ見せないで咲いている花のほうが見苦しくない。

 花が咲いている背景が、雰囲気的に合っているとき、最初から野性のよう見えないこともない。

 花にも舞台が必要だ。その場所に相応しい花が咲いていると、逆に花も舞台の一部になってしまう。