風や土の影響で、つまり天地、気候の影響で、暮らし方や住み方が自ずと決まっていた。

　その影響を受けにくい場所を、人は作ってきた。例えばエアコンなどがそうだ。閉めきった場所では、その土地の町の風や土の影響は少なくなる。

　風土を押さえ込むと、どの土地にいても、似たような装置を使うことで、同じような風景になりやすい。

　しかし、簾もエアコンも、人が作ったものである。作った国やメーカーにより、多少は形が異なる。だが、日よけを必要としない土地では、簾のようなものは存在しないかもしれない。

　同じ簾でも、使う土地により、多少のバリエーションはある。京風の簾もあれば、江戸風もあるだろう。

　エアコンには風情はないが、簾にはそれがある。物と機械との違いだろうか。