川崎フォトエッセイ  その1254 鬼瓦      HOME

 実用的な物の中に、シンボル生の高い装飾を施すことがある。

 例えば屋根瓦は、雨よけのためにある。実際にはそれ以外の使われ方はしなくてもよいのだが、古い建物には鬼瓦などが乗っていることがある。

 鬼瓦がなくても瓦屋根は作れる。その意味で、おまけのような存在なのだが、それがない場合でも、気づかないこともある。

 鬼瓦を探しながら屋根瓦を見ている人は少ないだろう。

 ふと、屋根を見たとき、そこに鬼の顔を施した瓦があることに気づく程度だ。

 鬼瓦は呪術的な機能で、精神的なものに関わってくる。その意味で、実用性云々の構造からは外れた世界だ。

 鬼瓦が威嚇している相手は人ではなく、同種の魔物だろうが、実際には人に対して威嚇しているのだ。

 シンボル性だけで繋がる世界があり、それは論理からは外れていても、人は論理だけで生きていない。