川崎フォトエッセイ  その1331 座れないベンチ      HOME

 座りにくいベンチがある。

 観光地の休憩所や、駅のベンチなどは、誰が座っても不思議ではないが、そうではない場所もある。

 誰が座ってもかまわないはずだが、本当にそこに座ってもよいのだろうかと、遠慮してしまうベンチもある。

 いつもそのベンチに座りに来る人がおり、他の人が座ると、常連さんの席がなくなるのでは…という種類の遠慮だ。

 その遠慮は、相手が気を悪くするのではないかという単純なものである。

 公共の場は、誰が出入りしてもかまわないのだが、暗黙裏の約束事が出来ていたりする。

 見知った人達とのやりとりは、当事者同士では分かり合えるが、第三者からは見えないシステムが稼働しており、そのシステムが、通常とは違う文脈である場合、誤解を招きやすくなる。

 暗黙裏の文脈が動いているローカルな場所には近づきたくなりと思うのは、安全のためだろう。

 

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