川崎フォトエッセイ  その1426 所有者       HOME

 よく見ると、何かが施されていることがある。

 気付きにくい所だが、決して隠されている場所ではない場合、それはメッセージを伝えようとしているのだろうか。

 昔、小学生のころ、鉛筆の握る側を削り、そこに名前を書いていたことを思い出す。

 誰が始めたのかは分からないが、いつの間にか教室内に伝わったのだ。

 鉛筆の種類も、少なかった時代なので、誰が誰の鉛筆なのかは、見分けにくかった。

 これは自分の鉛筆であるということを、名前を書き込むことで明確になるのだが、その箇所を削り取れば名前も消えた。

 自分のものに、名前やイニシャルを刻むのは、所有者を明確にするためだが、それだけではないような気がする。

 その名前や、マークなどが、一種の呪術性を帯びているのだ。

 

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