川崎フォトエッセイ  その1458 安全神話       HOME

 安全神話は、やはり神話であり、リアルなものではない。

 本人が気づいていなくても、この時代の人は、昔ほど安定した精神状態ではない。

 想像力を広げることが出来なかった時代の方が、あらぬ事をなさずにすむ。

 昔のタブーと今のタブーとは趣が異なっており、今は曖昧な自由さの中にある。

 抑圧から解放されることは、良いことであるとは限らない。ある一線は越えないほうが好ましく、そのほうが平和に暮らせることもある。

 出来もしない現実がそこにあり、あたかも出来る可能性として示される感じは、居心地が悪い。

 危なさに過剰に反応するほど、危なさを引き付けてしまいかねない。

 誰もがお互いに危なさを感じ合う時代は、豊かさとはほど遠い。

 その危なさを押し込める術は、昔よりも難しいだろう。

 

川崎フォトエッセイ  その1458 安全神話       HOME