川崎フォトエッセイ  その5  路地裏    ←前 次→    ホーム


 薄暗い路地を抜けると、表通りの街に出る。でも、そんな暗い路地は滅多にない。商店街ならアーケードで天井を塞いでいるので、多少は暗いのだが、普通の路地はそこそこ明るい。

 路地裏が暗いのは、言葉が暗いからだ。先ず「路地」が暗い。狭く見晴らしが悪く、マイナーだ。色々な人が行き交う道ではないので、閉ざされた場なのだ。その上「裏」がまた暗い。

 太平洋側を表日本、日本海側を裏日本と平気で呼んでいたが、これではイメージとして暗いので、言葉を選ぶようになったようだ。

 僕がいつも眺めている六甲山も、表六甲と裏六甲という分け方をしていた。裏六甲(有馬温泉とかがある場所)は、いつも陽の当たらない日陰ではない(笑)。

 路地裏は、暗さが二つ重なっている言葉だ。昼なお暗き路地裏があるのなら、一度行ってみたい。