平面的なものを見ると安心する。単純なブロック塀は、把握しやすいので安心する。
僕はどうも立体的なもの(奥行きのあるもの)が苦手で、奧へと向って走る線や、隠れた線が見えない。だから真正面とか、真上とか真横とかでないと、落ち着かない。平面的なものなら、斜めから見ても、それほど不安はない。
ブロック塀も、よく見ると、表面に複雑な模様や凹凸がある。それらはあとでできたもので、年代を重ねるごとに味を出している。
焼き物に焼き具合があるように、ブロック塀も、陶器に似た味わいがある。同じ焼かれ具合のブロック塀はこの世に二つと存在しないのだ。
新しい素材(新建材や非メタルカメラ)でも、馴染んで(傷んで)くると、日常の中に溶け込むようだ。古びて老いていく。そこに感情移入できる箇所が見つかるためだろう。