川崎フォトエッセイ  その23  アイスコーヒー    ←前 次→  ホーム


 同じアイスコーヒーなのに、自販機のそれと、喫茶店でのそれとは違う。

 喫茶店のアイスコーヒーより缶コーヒーのほうが量が多い。全部飲めない。それは氷が入っているかどうかの違いが大きい。それと、シロップやフレッシュの配分でも違いが出てくる。

 さらにストローで飲むのと、アルミ缶に口をあてて飲むのとでは味が微妙に違ってくる。無論、喫茶店(茶室)で座って飲むことによる違いもある。くどく言えば、値段が三倍以上違う。

 中身が同じでも「飲ませ方」が違うと、別商品の趣になる。アイスコーヒーなど、さして社会性のある品物ではないので、その違いが世の中を変えるわけではないが、その扱い方の文法は、世の中に影響をもたらす。

 一度ラフな様式を踏んでしまうと、その後、ラフさを何とも思わなくなったりする。常識の水平というような感じで、ラインがゆるむのだ。