川崎フォトエッセイ  その37  鉄道    ←前 次→  ホーム


 鉄道車両は無機的である。それでも多くの鉄道ファンが、写真を写し続けるのは、その中に真摯な形や機能美やドラマを感じるからだ。

 一般的な目からすれば、無機的な車両でも、絵が描かれていると、親しみを覚えやすい。

 例えば鬼太郎漫画の目玉親父が書き込まれている列車などは、もうそれだけで普通の列車ではないような気がしてしまう。

 童話のキャラとかが車両一杯に書き込まれた列車を見ていると、乗客全員が「いい人」に見えるようだ。

 いかに僕らがイメージに頼っているかがよく分かる。取っつきの印象で、ころりと騙されるのである。

 人はわかりにくい解釈よりも、わかりやすい解釈の方に流れやすい。それがどうでもいいようなネタならなおさらだ。

 遠くへ旅するには、磁気の強いイメージがないと行く気が起こらない。イメージこそが原動力なのかもしれない。