川崎フォトエッセイ  その53  河原    ←前 次→  HOME


 混雑した街の風景に飽きたとき、河原に行くと、少しは解放感が味わえる。

 河原も広すぎるとゴルフの練習場や、運動場になってしまうので、油断も隙もない。隙を見逃さないのだ。

 比較的小さな川だと、その隙が残っていて、小石混じりの砂地の上を歩ける。しかしモロに水際なので、雨が降れば川底になる。まあ、そういう条件だからこそ、河原として残っているのだが。

 天王山の戦いで有名な山崎の近くに水無瀬川がある。水がない川かと思っていたら、そうではなかった。神戸市街の北に、夢野という街があるので行ってきたが、夢のような野原など広がってはいなかった。地名とはそんなものである。

 京都の河原町も、川の河原が広がっているわけではない。「街の河原」である。

 河原という殺風景な景色を、たまに見たくなるのは、やはり街が混雑しているためだろう。