川崎フォトエッセイ  その54  内と外    ←前 次→  HOME


 町中で一定時間立ち止まり、ぼんやりしていると、変な人に思われてしまう。ベンチに座っていても、何か変だ。例えば老人やカップルなら絵として安定する。

 別に不審な行為をしているわけではないが、何も行為しないで、座っているだけの状態は、見る人を不安にする。

 夜中に主婦が散歩している状態は変だが、犬を連れていたなら、不審とは映らない。つまり、今何をしているのかをわかりやすく示したほうが安定するようだ。

 僕はぼんやりしたいときは、大きな窓のある喫茶店へ行く。そこに座っていると、怪しまれないからだ。少なくてもコーヒーを飲んだり、煙草を吸っている人(喫茶行為者)として、安定するわけだ。

 内の事情は外の人には分からない。またそれを丁寧に説明する必要もない。ただ、既製のパターンを示して、見逃して貰うほうが賢明だ。